(1)約款とは
契約内容をどう定めるかは、契約自由の原則から、当事者が対等の立場で、自由に協議して決めることができます。
しかし、多くの取引が予想される場合、取引の都度、契約内容について当事者間で協議して定めるのは生産的とは言い難いので、取引の態様がある程度予想される場合に、その予想される取引形態に応じた条項を予め、画一的に用意しておくと大変便宜であるといえます。このあらかじめ画一的に定めておく条項の総体を「約款」といいます。
(2)工事請負契約約款とは
建設工事に先立ち工事請負契約を締結する際に、工事内容、工期・請負代金の変更の方法や引渡し及び検査の方法、或いは工事の途中での取止めや契約自体を解除する方法、更には工事が終わった後に契約不適合が出た場合の措置など、契約・取引の態様・内容がある程度予想される場合、当事者が一々細かく取決めるより、あらかじめ共通項目をまとめた約款を利用することが極めて便利でスピーディーです。
そのために用意されたものが工事請負契約約款です。
(3)民間(七会)連合協定工事請負契約約款とは
民間建設工事のための工事請負契約約款です。建築関係諸団体(現在、7 団体)から派遣された委員及び法律顧問等による合同討議を経て策定され、法令・通達や社会環境等の変遷に対応した、改正を行ってきた歴史のある建設工事の請負契約約款です。なお、この約款と契約書式を用いれば、建設業法第19条の法定記載事項を満たす契約となります。
現在、我が国の民間建設工事において、最も普及している契約約款です。
※民法上の定型約款に該当しないことについて
2020年の民法改正によって、「定型約款」に関する定めが新設され、民法上の「定型約款」に該当する場合は、信義誠実の原則に反して相手方の利益を一方的に害するとされる条項については、合意をしなかったものとみなされるなどの、特別のルールが適用されますが、屋外での個別の取引が原則となる建設工事で使用される民間(七会)連合協定工事請負契約約款は、定型約款にはあたらないと考えられます。
