民間(七会)連合協定 マンション修繕工事請負契約約款契約書関係書式

令和5年(2023年)2月改正版

 マンション修繕工事は、発注図書の内容や、監理の方法、完成部分の受け入れ方法等、一般的な新築工事と異なる部分があります。これらの実態を反映し、マンション修繕工事の請負契約を締結するに際し、使い勝手の良い、工事請負契約約款を発行いたしました。

策定趣旨

 わが国の建築関連7団体選出の委員で構成された当委員会が発行しております「民間(七会)連合協定工事請負契約約款」は、大正12年の「建築工事請負規程」からすでに100年以上の歴史を持ち、年間頒布数が15万部を超えるわが国で最も普及している民間建築工事の請負契約約款です。今回発行の「民間(七会)連合協定マンション修繕工事請負契約約款」は、長年信頼の下に利用されてきた工事請負約款の基本的な骨組みは変えずに、近年急増しております、マンション修繕工事に適した約款として編集したものです。今回、本約款を作成するにあたり、マンション修繕工事の実態を反映させるため、マンション計画修繕施工協会を始めとするマンション関連団体で構成された「マンション計画修繕工事請負契約約款協議会」の編集協力を受けたことにより、マンション修繕工事の実態に則した、使い勝手の良い約款となったと自負しております。
 今後、マンション修繕工事において本約款をご活用いただくことで、発注者と施工者側の良好な関係に基づく、満足度の高い工事が実施されることを期待して止みません。

利用範囲

1)本契約約款の利用範囲
 本契約書類は、マンションの共用部分を対象に実施される、外壁修繕工事、屋上防水工事、給排水管の更新工事等の大規模修繕工事での利用を想定しています。
2)発注者 
発注者は、分譲マンションにおけるマンション管理組合、賃貸マンションにおける、個人或いは企業を想定しています。
分譲マンションの場合の発注者は、正確には、管理組合が法人格を有している場合は管理組合、法人格を有していない場合は、区分所有法に基づき定めた管理者である管理組合理事長となります。
3)受注者
受注者は、原則建設業法に規定する建設業の許可を受けた者、具体的には総合建設会社、専門工事会社、マンション管理会社等が想定されます。
4)監理者等
監理業務等に関しては、管理組合が自ら行う場合もありますが、技術的検討等の専門的知識が要求されるため、コンサルタントの活用や、建築士事務所に委託する場合が想定されます。本約款においては、発注者が「監理者等」を定めた場合には、「監理者等」の名称、その業務内容、業務範囲、業務責任等を書面で受注者に通知する義務規定を設けています。
なお、建築基準法では、建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕を大規模の修繕と定義しており、そのような工事となる場合には、建築士資格を有する者に工事監理業務を委託する必要があります。
5)工事の規模等
工事規模については、マンションの規模によっては、新築ビルに劣らない大規模な工事となることが想定されます。
また、基本的には、改修工事が対象となりますが、状況によっては、駐車場や付属棟等、新築工事の発生も考えられます。

構成内容

・マンション修繕工事請負契約書
・民間(七会)連合協定マンション修繕工事請負契約約款
・建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律第13条及び省令第7条に基づく書面
・仲裁合意書
・マンション修繕工事請負契約約款利用の手引き及び解説

利用ガイド

Q:第1条の総則において、「設計図書類」に工事費内訳書が含まれていませんが、内訳書は契約に含まれないのでしょうか。
A:内訳書に記載の数量や金額は、工事場所の状況や工事の方法等によって変更となる可能性がありますので、契約は合計金額のみで行うことが一般的です。但し、内訳書を契約図書に添付し、設計変更時の単価や数量の根拠として使用することは問題ありません。(該当条文:第27条、第28条)
Q:第1条(3)に記載の「監理、監修、コンサルティング等の業務」は、第三者に委託するのが望ましいのでしょうか。
A:通常、管理組合の役員の方々は、通勤や家事により、平日の日中に工事の確認検査に立ち会うことは困難なであると思われますので、工事の妥当性確認のために、第三者に業務を委託することが望ましいと考えます。修繕設計を設計事務所に委託している場合は、工事監理も同じ設計事務所に委託することで問題ありませんが、管理会社等が設計から修繕工事まで一括で請け負う場合は、工事の妥当性確認に工夫が必要です。
Q:第1条(4)で、受注者に監理者等の名称や業務内容を通知することとなっていますが、その必要な理由と、どのような内容を通知すれば良いかをお知らせください。
A:本契約書類を利用して締結される工事請負契約は、発注者と受注者の2者間契約であり、監理者等はこの契約の当事者ではありませんので、本来は監理者等の業務を受注者に通知する義務はありません。但し、本約款では、多様な立場の「監理者等」の多様な業務内容に対応するため、約款の条文において、一部を除き「発注者」と「監理者等」を分けて記載せずに、「発注者」に統一しています。よって、発注者は、受注者に対して、別途、監理者等に与えた権限を提示する必要があります。
受注者へ提示する内容は、監理者等が、何をチェックするのか、承認権限は監理者等にあるのか、発注者にあるのか等です。その権限は、色彩計画については発注者の承認が必要であるが、その他については監理者等に委任する等、工事や業務内容によって違うと思われますので、それらを明確にしておくことがトラブル発生の防止につながります。
作成の方法としては、監理業務等を委託している監理者等に対し、自らが受託している業務内容と責任範囲を受注者に判り易く提示する資料を作成するよう指示することが良いと思います。同時に発注者がそれを確認することで、監理者等の業務内容についての理解が深まり、後のトラブル防止につながることが期待されます。 
Q:第3条の「関連工事」とは、どのような工事を想定されているでしょうか。
A:発注者が計画修繕工事と同時に、他の工事を、修繕工事を行う施工者とは別の施工者に発注した場合や、マンションの居住者が行う専用部分のリフォーム工事等を想定しています。
Q:第4条で、請負代金内訳書、工程表は、契約時に受領済みですが、再度提出してらう必要があるでしょうか。
A:契約時に提出されたものから変更が無ければ、再度提出を要求する必要はありません。但し、工程表については、契約時に提示の工程は概略工程であることが多いため、より詳細な工事工程の提出を依頼した方が良いと思われます。
Q:第24条に部分引渡しについての記載が有りますが、部分引渡しとはどのようなことを言うのでしょうか。
A:本来完成引渡は、工事請負契約で約定したすべての工事範囲を完成した後に一括して行い、受注者は、引渡しが完了するまで、工事範囲部分についての管理責任を負っています。本条で規定する部分引渡し部分は、工事が完成し、先行して引渡しても問題がない部分、例えば集会所など、独立した部位が想定されます。
但し、引渡しを受けた以降は、当該部分の管理責任は発注者側に移るということを理解しておくことが重要です。

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